出ていたのを昨日知って、今日買ってきて読んだ。
宗像教授異考録 9 (9) (ビッグコミックススペシャル)
第8巻が出てから1ヵ月で次のが出てるんだね。
今回は鯨の話が出てくる。浜に打ち上げられた鯨。「寄り鯨」と呼ばれる。
御陣乗太鼓、あまめはぎ、なまはげといった来訪神を迎える伝統行事が海辺で行われることと、その寄り鯨との関係を考察する。その内容があいかわらずエキサイティング。
教え子が出てきて、鯨をとることをとっても恥じているんだけど、その背景とか理由とかは触れられない。そこが不満。っていうか、こういうところをバッサリ捨てて、民俗学的考察にシフトしきってしまうのがこのシリーズの特徴でもある。あれ、そこは触れないの? みたいなのがけっこうある。そのへんまで手がまわらない、というところだろうか。誌面スペース的に。もっと書きたいことがあるんだぜ、的な。
新興宗教を扱った話もある。その教祖がこれまた不思議な人だ。最初は否定的な話かと思ってたけど、なんか不思議なオチになる。題材としては扱うけど、そこは本質じゃないからそれに対しての意見は肯定的であれ否定的であれしない、というスタンスにも見える。やっぱり主題を書きたいからその素材なわけだ。
一方。宗像教授がほとんど出てこない話もある。もはや第2の主役とも言える忌部神奈(いみべ かな)がメインの話だ。これまた不思議な読後感を残す。ここで民俗学的考察を披露するのは宗像教授ではなく、忌部。珍しいことに彼女の心情を描写している。その描写が見事。別に独白をさせるわけでもなく、たんに状況を過去の回想ととも絵として描くのみ。それでも心情が伝わってくる。たまにこういうのがあるから、やっぱりおもしろいんだなあ、と思った次第。
珍しくコミックの感想でした。
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