10年ぶり2枚目のソロ。戸田誠司『There She Goes』

音楽

 ようやっと書く気になりました。『There She Goes』。
 戸田誠司といえば、FAIRCHILDのリーダーだとか、マモーミモー野望のテーマ(だっけ? 確かオリコン1位)の作曲・アレンジとかで有名。さらにさかのぼればShi-Shonenやリアルフィッシュでの活動などが。アイドル仕事も多数あり。一応、基本はこんなもんでいいでしょうか? 意外なところでは、今はなきトラットリアの92年発売コンピレーションアルバム『ジャズ・ジャージー』(つづりわかんないや)にも参加してます。
 1曲目を聞いて驚愕。10年前のアルバム『HELLO WORLD:)』よりも昔っぽい。いま、このドラムマシンまんまみたいな音はないだろうと思ったりも。でも、アコースティックギターのぶつ切れ感じは今を感じさせる音か。すごい気持ちいい音の断片がいっぱいつまっている。古いってのは撤回。
 で、全体を通しての印象は、戸田誠司はやっぱりいいメロディを書く人なんだなあ、というもの。とにかく歌メロがいい。懐かしさを感じさせる部分もいろいろあり。それはシンセの音とかだけじゃなくて。
 6曲目の『Look』はアナログシンセの音がかなりニューウェーブ。まあ、アナログつってもソフトシンセなのかもしれないが。サビの怪しげな音程もすげー。友達は音痴だと言っていたが、これはニューウェーブだからだろ。ねじれてるんだ。
 なんか、時代を忘れさせる音楽ではある。これが20年前の作品だといっても信じてしまうだろうし、エレクトロニカ的な部分を聞けばさすがに今の音だと思う。さすがに未来の音だとは思わないけど、10年後、20年後も今と同じ感覚を覚えそうな予感さえする。
 ダンス的なアプローチは皆無。FAIRCHILDのライブでは客を躍らせることにも考えられていたので、アッパーな曲もありましたが、今回はそうしたものはいっさいなし。エレクトロニカなシンガーソングライターって感じか。どんな感じだ。
 アコースティックギターがけっこう多用されてるのにも驚いた。そういえば、Shi-Shonen時代はギター弾いてたんだよなあ。FAIRCHILD時代はベース担当だったけど、たまーにライブではギター弾いてたっけ。半ズボン姿で飛び跳ねながらキーボードを弾いてるのもかっこよかった。そのときは確かすね毛を剃ったと言ってましたよ。FAIRCHILD最後の1年は仕事でぜんぜん見られなかったけど、デビューライブ含めて、かなり行ったなあ。20回は見たか。ほとんど日清POWER STATIONだったが。89年末のエムザ有明の『サイケデリック物理学』では戸川純とも競演してた。誰かが、FAIRCHILDは戸川純のやばいところを全部とっぱらったような、と評していたが。(追記:あとで調べたら、このイベントのタイトルが違ってた模様。じゃあ、なんているタイトルだったんだっけなあ。サイケ物理の公式はここ。過去のラインナップなどもあり。)
 話をニューアルバムに戻す。
 で、インターネットでこのアルバムについての記述を見ると、MP3ファイル(全曲と対談っぽいトーク)が入ってるとか、おまけ(MPEGでビデオクリップなど)がどうとかいう話ばかりで語られることが多いような気がする。そんなのなしですげーいいのに。プロモーションには役立ったのだろうけど。ほんとはここでもいわないつもりだったけど、一応、興味を持って聞いてくれる人がいればと思って書いてみた。よその記事もそういうつもりだったのか。書いてみて気づいた。
 歌ものでは『水色』が好き。インストは『Step』か。意外だったのがRCサクセションのカバー『スローバラード』。選曲が意外ってこと。ちょっと『フラワーバーガー1つください』を思い出させるアレンジ。FAIRCHILDの初ソロライブ(インクスティック芝浦、88年)で『フラワーバーガー〜』をはじめて聞いたときは、リアルフィッシュを思い出したんだっけな、そういえば。
 このアルバムでいろんなものを思い出した。ノスタルジックの天才、そんな感じ。どんな感じだ。テクノロジーにまみれた(褒め言葉)音楽でありながら、そんな気持ちを喚起させてくれる。十台とかの若い子が聞いたらどう思うんだろうか? なんかそんなことばっかり言ってるな。
 今月にはライブがある模様。ぜひ行ってみたい。microKORG買ったみたいだし(公式サイトの日記7月6日参照)。公式サイトには元FAIRCHILDのYOUさんのコメントがMP3でおいてあったりします。コメントというか戸田さんと対談形式か。アルバム収録曲の試聴もできますので、どうぞ。
 で、amazonの「あわせて買いたい」によれば、「『There She Goes』と『普通の恋(菊地成孔 feat.岩澤瞳)』、どちらもおすすめ!」となっている。この2枚を買うような人は俺以外にもいっぱいいるんだろうと想像。ちょうど、この2枚を連続でかけ終えたところで、このページ見て笑った。

There She Goes
戸田誠司

発売日 2004/06/16
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