ピチカート・ファイヴの2ndアルバム『ベリッシマ』が当時と同じジャケットで再発されているようだ。2004年とか2003年くらいに出ている模様。今頃だけど、今頃気づいたので、忘れないように書いておく。
コロムビアからリリースされた作品群は、今入手できるものはジャケットが変わってしまっている。これはちょっと残念な気がする。新しいジャケットになった理由はわからないけど、オリジナルはそのままにしておいたほうがいいと思うんだけどな。ジャケットが新しくなってるから、また買う、みたいなアーティストではないような気がするし。
で、再発版(といっていいのか)『ベリッシマ』の帯(というかキャップっていうんだっけ、CDは)にはこう書かれている(Amazonのジャケット写真で確認)。
仏作って、魂を探す。
88年発表のピチカート・ファイヴの2ndアルバム。
このフレーズもオリジナル版とは異なる。オリジナル版は
汗知らず スーパースウィートソウル
であったはずだ。微妙に違うかもしれないけど、記憶ではそんな感じ。
再発版の「仏作って、魂を探す」は、当時、音楽誌で酷評された際のレビュータイトルをもじったものだろう。
「仏作って、魂入れず」
そう書かれていた。確かミュージックマガジンだったか。
また、当時の話としては。山下達郎もまたこのアルバムを酷評していたという話もあったはずだ。ラジオで言ってた、とかだっただろうか。アルバムがひどいプラスピチカートはひどい、みたいな話だったと思う。
さらにこの話には後日談があって。山下達郎の奥様、竹内まりや がオリジナル・ラブのファンになり、田島貴男のことも好き、ということで。山下達郎はその酷評を取り下げたとかなんとか。今は認めてる、とかいう話か。
まあ、うわさレベルの話だった気もするけど、記憶ではそんな感じ。
さらに。ピチカートの再発ものにはいろいろな話がある。
これもソニーからリリースされたアルバム『月面軟着陸』の再発版では「これは恋ではない」がカットされている。Amazonのレビュー(月面軟着陸)でも触れられているとおり、おそらくサンプリングのクリアランス問題だろう。まあ、その一方で「セックス・マシーン」は大丈夫だったのか?という疑問も出るんだけど(ジェームス・ブラウンの同名曲のギターカッティングのフレーズが使われてる。サンプリングじゃなくってコピーだからいいということなのだろうか? 実はよ聞くとぜんぜん違うフレーズだったりして)。
なお、この「これは恋ではない」は「ベリッシマ」収録の同名曲とは別のもの。歌詞こそ一部引用があるけれども、田島貴男とゲストの奥田民生によるラップが聞けるかなりユニークな仕上がりである。これが今聞けないのはもったいない。
で、サンプリング問題といえば、いくつかのジャケットもサンプリングでできている。というのが当時の状況を反映してておもしろい。
『ベリッシマ』と『女王陛下のピチカート・ファイヴ』のジャケットは、外国の写真を許可なく使っている、と、デザイナーの信藤三雄が後に語っている。95年ごろの再発ではいったんジャケットが変わっていた記憶があるのだけど、そのときは「ああ、ジャケット写真無断使用がまずいから、海外進出のタイミングもあるので、ジャケット変更したのかなあ」なんて思ったんだった。でも、今はオリジナルと同じジャケット。権利関係がクリアされたのか、なんなのか。
それから。
CDケースの蝶番の部分(なんていうんだ、あそこ)はその昔、黒が一般的だった。で、ソニーだけは白だったりした。しかし、88年にその部分も透明なケースを使ったCDが出てきた。
その世界初のCDケースを使ったCDが『女王陛下のピチカート・ファイヴ』である。これも進藤さんの発明。後に「特許とっとけばよかった」みたいなことをインタビューで言っていたのを思い出す。
その後、多くのCDが全体が透明なケースを採用し始めたことを考えると、CDジャケットのデザイン面での革新がまさにそこで起きたことがわかる(それまではLPよりも小さなCDではデザインでやれることが限られている、と言われて、停滞していたわけだし。この時点ですでにCD登場からけっこう経っているはず)
また、その次の作品となる『月面軟着陸』ではインナーのブックレットがCDケースサイズではなく、80%程度のサイズになっている。つまりケースの中でブックレットがからから動いてしまうプラスCDの盤面が店頭で見える、というものだった。これはさすがに後追いはなかった気がする。
さすがに古い話なんで、記憶に間違いがあるかもしれない。それでも、あえて検索とかはしないで最後まで書いてみた。チャレンジ。間違いとかあったらご指摘よろしくです。
とか書いてたけど、すごくよくできてるエントリが見つかったのでリンク。1990年 『月面軟着陸』…その2。このブログすごい。
コメント
この辺、ジャズトリアルタイムなので
思い入れありますねぇ~。
そうなんですよねえ。よかったなあ、当時の田島。声がちょっと硬いけど、けっこういいです。
コメントありがとうございます。