5月26日、27日の2夜連続でフジテレビで放送されたドラマ『ザ・ヒットパレード 芸能界を変えた男・渡辺晋物語』がとてもおもしろかった。
昭和20年代のテレビ創世記の話で、そこに関わる芸能プロダクションの悲喜こもごも。てきとー。簡単にいうとナベプロの社長の話。昭和のヒット曲を生み出した名作曲家、作詞家、歌手が実名でばんばん登場するのにはちょっと興奮。
いちばんすごかったのが、クレイジー・キャッツの植木等を演じる陣内孝則。これがそっくり。テレビに出てるアッパーな植木ではなく、普段の植木。ええ声で落ち着いた感じがなんとも。ダイエットでかなりやせた陣内は見た目はやっぱりぜんぜん似てないんだけれども、発生の仕方とか話し方とか完璧。あとはいつもハイテンションでだじゃればっかり言ってた宮川泰(みやがわひろし)を演じた近藤芳正もよかった。なんか思い出してぐっときたね。
このドラマの制作発表があった前後に宮川さんは亡くなってて、完成したドラマを見ずに逝ったことになる。見てたらどんな感想を言ってただろうなあ。
宮川さんがザ・ピーナッツに教えるシーンもよかった。で、ピーナッツは安倍なつみ、安倍麻美姉妹が演じている。妹のおかげで姉が仕事がもらえるとは誰が予想しただろう(麻美はナベプロ)。いい姉孝行ができたのではないか?(うそ) あと、TV出演シーンではザ・ピーナッツの歌は本物が流れてるけど、ドラマ内でのシーンは違う。ただ、安倍姉妹だったかどうかは不明。安倍姉の声っぽい感じはあったけど、安倍妹の声知らないからな。吹き替えの可能性もなきにしもあらず(まあ、全部ではないと思うけど)。あと、このドラマのおかげでザ・ピーナッツのCDがバーンと売れ始めるね。きっと。っていうか、俺が買おうと思った。どれがいいんだろうな。いっぱいあるけど(掲載写真のアルバム左はライブ版。岸部シローが司会らしい。とりあえず、これ買ってみる)。
ドラクエの作曲で有名な、すぎやまこういち、はネプチューン原田泰造が演じる。すぎやまさんはニッポン放送から開局時にフジテレビに移動。ナベプロ主導の番組『大人のまんが』『ザ・ヒットパレード』などを手がけ、その後独立、作曲家へ転身。『ザ・ヒットパレード』のオープニングテーマをフジ社員時代に作曲している。それも番組開始3日前に渡辺晋のすすめで作り始めるのだ。このへんすごいおもしろかった。つっても、すぎやまこういちが音楽をやってたっていうエピソードはぜんぜんここまでなかったんだけど。
2日にわたる物語はやはり、1日目がだんぜんおもしろかった。後半は財界人とのコネクションつくりとかなんか生臭い話ばかりで、さらにそれが原因で主人公(柳葉敏郎)が体を壊したりとか。
まあ、ナベプロがスタジオ押さえて制作費も全部持って、それでレコードを作って流通だけは東芝に頼む、でもって、プロモーションは当然番組で流すことによって行うってところはおもしろかった。原盤権とかも当然ナベプロなわけで。その曲がこれまた『スーダラ節』だったりする。
これもTV番組によるタイアップの例なんだろうな。しかもごく初期の。植木の鼻歌をおもしろいと思った渡辺がすぐさま放送作家の青島幸男(石黒賢)を呼び寄せ、詞を作らせたりとか、てきとーかつ瞬発力のある対応がなんとも。こういうフットワークの軽さは今の音楽業界ではないんだろうなあ。しらないけど。
それから、「ナベプロだけで芸能界かくし芸大会の番組が成立するのはすごい」といったセリフもあった。なるほど、当初はそういうメンバーだったのだな。「かくし芸」といえば、ハナ肇(もちろん、このドラマにも出てる)が銅像役、ってこととか堺正章(この人は出てない)のあれとかがあったなあ、なんて思ったり。そう。ザ・スパイダースは出てないのだ。このドラマ。ザ・タイガースはちょっとだけ出てたけど。キャンディーズ解散のところもほんのちょっと。サエコがキャンディーズの誰かの役でセリフあり。ほかの二人は誰かわからない。
まあ、そんなこんなで。とっちらかってきたので(でも推敲もしないで終わる)。
これ、今も生きているドラマの登場人物が見て、どういう感想を持つんだろう? 特別番組とかでやってくれないかな? 当時の話や時代背景も含めて、実際の登場人物とドラマの出演者がトークするみたいなやつ。渡辺プロとフジテレビのみなさん。ぜひお願いします。
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