『南米のエリザベス・テーラー』用の新バンドのデビューライブ。ペペ・トルメント・アズカラール(pepe tormento azucarar)。いやあ、予想以上にとってもよかったなり。バンドネオン、ストリングスカルテット、ハープ、ドラムレス(大儀見元含むパーカッション二人)、ピアノ(南博)、ウッドベース(鈴木正人)という編成はなんかぐっとくるものがありましてよ。ストリングスの2人とハープは女性。しかもいずれも美しい方がたなのでした。菊地サックスも久々に聴いたのですが、これがまた感情の吐露(に聞こえる)といった具合で。あの音が割れるような感じ(とくに本編ラスト)は泣き叫んでいるような音でまあ。ビデオクリップの影響ではないけど、このアルバムって映画音楽(しかも日本の)っぽいよなあ、と思う。
とうぜん、カヒミ・カリイさんはあいかわらずすばらしい歌で、その歌う姿もおきれいでした。ステージはける際のはねるように小走りする姿もかわいらしかったです。歌っているときはかなり大人な感じなんですが。
生楽器(をマイク-アンプで増幅する)の迫力が感じられたバンドでした。あー、次回も見たい。
で、この編成にもかかわらず、菊地によるキュー出し(DCPRGに見られるものと同じ、奏者へのミュート/解除の指示)がありまして。DCPRGのそれよりも、なんかよりダブっぽいのだった。
ダブというとリバーブやディレイといったエフェクトが注目されがちだけど、基本はパートのON/OFF。それがコンダクターと奏者によって実現されているわけで。で、このバンドのそれはフレーズの途中で突然音が切れる(ソロで鳴っているパートも残しつつ)、そしておもむろにミュート解除、そのタイミングがサンプラー以降というか、波形編集による音楽、を思わせて、しかも生音である、というのが、新鮮で見ててうおっ、とうならされたり。
あと、1曲めのサックスとバンドネオンのユニゾンで重なり、かつ音がぶちぶち切れる感じ。あれだけで実はもうやられてしまったのだった。アルバムで初めて聞いたときは、それこそ「波形編集だろ」とか「それともゲートか?」「とにかく生ではこの早いパッセージは無理だろ」とか勝手に思ってたのですが、ほんとに生でやれるのだな、と無知ならではの感想。しかも同フレーズを最後の曲ではストリングスも交えて。これもさらにぐっときたなあ。
で、今回のライブは対バンありなのだった。ブランドン・ロス コスチュームバンド(ベースのみ日本人でプレイも見た目もそれはそれは見たことない感じでかっこよかった)。ペペが先だと思っていったのだけど(チケットや告知ではブランドン・ロスが上に書いてあったのでメインだと思ってた)、逆だったね。順番。開演20分前に着いたらすんげーがらがらで、しかもフロアの3分の2を占めるスペースにパイプイスが。その数およそ200。あー、チケットの売れ行きが悪いからイスでうめちゃったか、と。こりゃ楽でいいなと思ってたのだけど、9時半にブランドンが終わるころには徐々に客が増え始め、それはもう普通の混み混み状態に。あー判断間違いっぱなし。
で、うさんくさいラテン、なわけですが、ジャズ、よりもおもしろいと思いましたよ。
で、帰り。恵比寿リキッドルームの階段をのぼり、降りるわけですが。上ったところに「東京大学のアルバート・アイラー」を持った人が「この機会にお求めください」なんて言ってた。物販テーブル自体はもう少し離れたところにある。「もう買いました」って人はどんくらいいたんだろう。あと、いまこのページの右上のウィッシュリストだけど、ほとんど買っちゃったんだけど、今後欲しいものとかいまないのでそのまま。
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